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公設事務所便り

あさかぜ日記
~豊前ひまわり基金法律事務所定着式・披露会に出席して~

あさかぜ基金法律事務所 弁護士 田中秀憲

平成28年9月まであさかぜで勤務していた西村幸太郎弁護士が,福岡県豊前市における豊前ひまわり基金法律事務所での3年の赴任期間を経て,事務所名を豊前総合法律事務所に改め同地域に定着することとなりました。その定着式・披露会を紹介します。

あさかぜ日記~豊前ひまわり基金法律事務所定着式・披露会に出席して~
豊前地域について

福岡県豊前市は人口が2万5000人(令和元年9月現在)で福岡県の東南端に位置します。周囲には築上町,上毛町,吉富町があり,豊前市とともに豊前地域を形成し,同地域の人口は6万人です。

豊前地域には西村弁護士が豊前ひまわり基金法律事務所を開設するまで40年以上も弁護士が常駐する法律事務所はありませんでした。リーガルサービスを受けられる場所として豊前法律相談センターがありますが,相談できる日時は火,木,金曜の午後2時から午後4時30分までと限られていたため、困りごとがあったときにすぐに弁護士に相談することはできませんでした。

そこで弁護士過疎を解消すべく,平成28年10月に西村弁護士が豊前ひまわり基金法律事務所を開設し,豊前地域のリーガルサービスを担うことになったのです。

定着式

定着式には,豊前市長をはじめとして,築上町,上毛町,吉富町の各町長や市議会議長,商工会議所の関係者,ロータリークラブの関係者など,豊前地域の関係者が出席されていました。豊前市長の挨拶のなかでは,西村弁護士が市民から数多くの法律相談を受けているのみならず豊前市からも法律相談を受けており,これからも豊前地域に法の支配をいきわたらせるには西村弁護士が必要だという力強い励ましがありました。豊前市長は西村弁護士が依頼者に寄り添うリーガルサービスを提供しているエピソードとして、西村弁護士が交通事故の案件で依頼者にわかりやすく説明するために骨格標本を利用しているとの話をしていました。豊前市長は西村弁護士がいつも笑顔で頼りになり、親しみを持てる身近な弁護士であり、西村弁護士のおかげで豊前地域の住民が平穏に暮らせていると話していました。

また,当会の山口雅司会長や原田直子日弁連副会長,宮國英男九弁連理事長も出席し,西村弁護士の3年の赴任期間をねぎらい,あわせて激励の言葉が贈られました。山口雅司会長からは西村弁護士が国選弁護活動などの公益活動はもちろんのこと、商工会議所での講演活動やブログを使っての啓発活動などを行っているとの話があり、西村弁護士が豊前地域で幅広い活動によりリーガルサービスを提供していることが紹介されました。

披露会

披露会では,西村弁護士が挨拶し,とても不安な気持ちで赴任したが,市民のもとに出かけたときには断られることもなく,市民からは何かあれば相談したいと言ってもらい,市民に支えられ,また地域に活かされ定着に至ることできたと笑顔いっぱいの話でした。また,豊前地域での受任件数が毎年増加していて,事件の件数が多いのは,それだけ市民の困りごとがみ過ごされていたためではないかと思う,そのような地域でひまわり基金法律事務所として活動する意義は大きいと話していました。そして、挨拶の最後に西村弁護士はこれからの抱負として、これまでの豊前地域における活動であまねくリーガルサービスの提供の礎になれた、今後もこの地で活動を続けていきたいと話していました。

披露会では,西村弁護士のこれまでのご苦労に対して宮國英男九弁連理事長より感謝状が贈呈されました。

地域の人々とともに

定着式に出席して,西村弁護士が市民のみならず,行政からも厚い信頼を寄せられていることを実感しました。西村弁護士は豊前ひまわり基金法律事務所の初代所長として同事務所を開設し,ゼロから豊前地域の方々と人間関係を築いていきました。そのような苦労を経て今ではたくさんの地元の人々から大きな信頼を得ているのは,豊前地域の人々が西村弁護士を暖かく迎え入れてくれたことはもちろんですが,西村弁護士自身の努力や人柄によるものも大きいと思いました。また,西村弁護士が今後も豊前地域において法の支配を行き届かせることに弁護士会からも大きな期待が寄せられていることもあわせて感じたところです。

私はこの度の定着式・披露会に出席してひまわり基金法律事務所の存在意義を再確認することができました。西村弁護士の話を聞いて弁護士過疎地には法による助力を求めている人たちがたくさんいることを認識し,弁護士過疎地で誰もが平等に法の助力を受けられる社会を実現するために依然としてひまわり基金法律事務所が果たす役割は大きいように思います。

弁護士過疎地へ赴任すれば,その地でのリーガルサービスの多くを赴任した弁護士が担うことになります。そのため赴任する弁護士の責任は重大です。近い将来の私の赴任先の地域の人々が適正なリーガルサービスを受けられるよう,残りの養成期間,しっかりと研鑽を積み,西村弁護士のような赴任先の地域の人々に信頼される弁護士を目指してがんばります。

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