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勧誘規制の強化を求める決議

当連合会は、政府に対し、以下の点を強く求める。

  1. 商品先物取引法における不招請勧誘禁止規制の緩和策を取り止め、改正省令を廃止すること
  2. 海外で広く実施されている電話勧誘拒否登録制度(Do-Not-Call制度)を速やかに導入するための施策を講じること
  3. 「訪問販売お断りステッカー」など訪問販売の事前拒否に明確な法的根拠を与え、これを無視して勧誘することを禁止する訪問勧誘拒否制度(Do-Not-Knock制度)を速やかに実現するための施策を講じること

2015年(平成27年)10月23日

九州弁護士会連合会

提案理由

1 顧客あるいは潜在的顧客の同意、要請、依頼を受けていない状況で行われる勧誘全般を不招請勧誘と言うが、訪問や電話による不招請勧誘の不意打ち的な販売行為による消費者被害が後を絶たない。日本弁護士連合会においても、これまでに多数の意見書を出し、不招請勧誘に対する規制を求めてきた。

それらは商品先物取引法並びに金融商品取引法における不招請勧誘禁止規定の創設や、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)の訪問購入の不招請勧誘禁止に繋がり、かかる施策が消費者を投資被害などから守る重要な役割を担ってきた。

しかし、近時においては,上記の取引分野以外においても、突然の電話や訪問による勧誘を端緒とした悪質商法により、高齢者の消費者被害が激増しており、増加する一方の高齢者の被害を防止する観点からすると、現状の施策ではなお不十分であり、不招請勧誘規制をより強化すべき情勢にある。

このことは、当連合会管内においても異なるところはない。

2 しかるところ、政府は今般、商品先物取引法における不招請勧誘禁止規制を省令改正という形式によりその緩和を図っている。

これに反対する意見は、九州弁護士連合会内の各単位会が、一致して出しているところである。

3 また、上記のとおり、電話勧誘販売や訪問販売による消費者被害は依然として後を絶たない状況にあり、当連合会管内においても、この状況は何ら変わるところはない。

そこで、断る力が十分でない消費者においては、自衛手段を講じる必要がある。

ここで、海外においては、事前に電話勧誘販売や訪問販売を受けたくないことを登録等した消費者に対して電話勧誘販売や訪問販売をすることを禁止する法制が広く採用されており、電話勧誘販売や訪問販売の事前拒否に法的根拠を与える必要がある。

この(1)事前に電話勧誘販売を受けたくないことを登録した者への勧誘を禁止する制度を電話勧誘拒否登録制度(Do-Not-Call制度)といい、同じく、(2)事前に訪問販売を受けたくないことを登録し、ないしは「訪問販売お断りステッカー」などにより事前に訪問販売を受けたくない意思を示した者への勧誘を禁止する制度を訪問勧誘拒否制度(Do-Not-Knock制度)というが、いずれも、速やかに導入されることが求められる制度であり、日弁連からも、同旨の意見が出されている(日本弁護士連合会・2015年7月17日付け「特定商取引法に事前拒否者への勧誘禁止制度の導入を求める意見書」参照)。

4 そこで、当連合会は、訪問や電話を用いた不招請勧誘による消費者被害の根絶を図るため、政府に対し、(1)商品先物取引法における不招請勧誘禁止規制の緩和策を取り止め、改正省令を廃止すること、(2)海外で広く実施されている電話勧誘拒否登録制度(Do-Not-Call制度)を速やかに導入するための施策を講じること、(3)「訪問販売お断りステッカー」など訪問販売の事前拒否に明確な法的根拠を与え、これを無視して勧誘することを禁止する訪問勧誘拒否制度(Do-Not-Knock制度)を速やかに実現するための施策を講じることを強く求める。

以上

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