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死刑執行に強く抗議し、死刑執行を停止し死刑制度について全社会的議論を求める理事長声明

2015年(平成27年)6月25日、名古屋拘置所において、1名の死刑が執行された。本件の死刑確定者は、控訴取下げ無効を主張し、再審請求の準備中であった。また、本件は、2014年(平成26年)8月29日の2名の死刑執行から約10ヶ月経過後の執行であった。

本件死刑執行は、自民党の政権復帰(2012年12月)以降、7回目、12人目の執行であり、再審請求準備中の者であっても死刑執行に躊躇しないこと、そして、結果的には1年以内に必ず死刑の執行を行われることを国内外に知らしめる効果をもたらすものであった。

しかしながら、死刑制度については、死刑が人間の尊厳を侵害する非人道的行為であること、EUを中心とする世界の約3分の2の国々が死刑を廃止又は停止していること、誤判・冤罪により死刑を執行した場合には取り返しがつかないことなどの様々な問題を内包しており、2014年(平成26年)の内閣府世論調査では、死刑廃止に向けた国民的世論形成の萌芽が生まれていることが読み取れるようになった。

そのため、日本弁護士連合会は、2004年(平成16年)の第47回人権擁護大会において「死刑執行停止を求める」決議を行い、2011年(平成23年)の第54回人権擁護大会において「死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける」宣言を行い、また、2014年(平成26年)11月11日、上川法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑冤罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して、死刑制度に関する情報を広く国民に開示して死刑制度のあり方についての議論を尽くすべきこと、そして、その議論が尽くされるまでの間はすべての死刑の執行を停止すべきことを求めてきた。

当連合会もまた日本弁護士連合会の決議・宣言及び上川法務大臣に対する要請に賛同するものであり、本件死刑執行について強く抗議の意思を表明するとともに、死刑制度についての全社会的議論を求めるものであり、この議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止することを強く要請するものである。

2015年(平成27年)7月23日

九州弁護士会連合会理事長 前田和馬

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