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大村入国管理センター等の長期収容者について仮放免等収容代替措置の活用による速やかな解放等を求める理事長声明

1 当連合会では、2015年9月の入国者収容所西日本入国管理センターの廃止に伴い、入国者収容所大村入国管理センター(以下「大村入管」という。)の収容者が増加していることを受けて、本年1月11日及び同月31日、同所において、集団法律相談会を実施した。その結果、被収容者102名(2017年末現在)中約61名が相談に参加したが、42名が1年以上、そのうち11名が2年以上、2名が3年以上収容されており、多くの収容者において収容が長期化している状況が判明した。また、相談参加者以外でも収容施設の中で最長5年以上収容されている者もおり、これらの長期収容者の中には難民認定申請者も多数含まれていた。

法務省は、従来、2010年7月27日付法務省管警第172号「退去強制令書により収容する者の仮放免に関する検証等について(通達)」を発し、収容が長期化している案件について弾力的に仮放免を活用するとしていたが、2015年9月18日付法務省管警第263号「退去強制令書により収容する者の仮放免措置に係る運用と動静監視について(通達)」を発して、2010年通達を廃止し、また、2016年9月28日付法務省管警第202号「被退去強制令書発付者に対する仮放免措置に係る適切な運用と動静監視強化の徹底について(指示)」を発し、仮放免の適正化等を指示した。その結果、近時全国的に仮放免許可件数は大幅に減少しており、大村入管においても、2016年の48件から2017年は15件(同年10月末現在)に激減している。

2 このような中、本年4月13日、入国者収容所東日本入国管理センターにおいて、インド国籍の男性が死亡した事件が発生した。当局の発表によれば、自殺とみられるとのことである。この男性は、死亡する前日に仮放免申請が却下されたことを告げられ、長期間にわたる収容を悲観したとみられている。

上記死亡事件のように、2007年以降、入国管理局が管理する施設内において、被収容者が自殺した事件は4件発生しており、自殺以外の病気等の死因も含めた死亡事案は12件発生している。

そして、大村入管において被収容者との面会活動を行っているNGOのメンバーによると、2018年4月18日には、上記死亡事件の発生を受けて、大村入管の被収容者が入管職員の言動に抗議したことに対し強制的に居室に返すというトラブルが発生しており、被収容者の精神的な不安や先の見えない無期限の収容への絶望感はピークに達し、大村入管においても死亡事案が発生しかねない切迫した状況にある。

3 そもそも、出入国管理及び難民認定法による収容は、あくまで強制送還を実効的に行うためのものであり、送還が法律上禁止されている難民認定申請者や退去強制令書の執行停止決定を得ている者はもちろん、送還の予定がない者の身体拘束を続けるのは、目的外の拘禁であり、市民的及び政治的権利に関する国際規約第9条第1項が禁止する恣意的拘禁にあたる。

従来から、我が国の入管施設での長期収容の問題に対しては、2013年5月31日、国連の拷問禁止委員会が、拷問等禁止条約第19条第1項に基づく第2回日本政府報告書審査に関する総括所見において、長期収容や期限の定めのない収容に懸念を表明し(CAT/C/SR.1164)、また、2014年7月23日、同自由権規約委員会も、日本の第6回定期報告に対する最終見解において、長期にわたる行政収容に懸念を表明するとともに、日本政府に対し「収容が最短の適切な期間であり、行政収容の既存の代替手段が十分に検討された場合にのみ行われることを確保し、また移住者が収容の合法性を決定し得る裁判所に訴訟手続をとれるよう確保するための措置をとること」を求める(CCPR/C/SR.3091、SR.3092)など、国際的にも批判されているところである。

また、難民認定手続中の難民認定申請者について、日本政府は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が実施する「入管収容に関するグローバル戦略2014―2019」に2017年から参加する意向を表明しているが、同戦略の中では、収容代替措置の利用が法律上も運用上も確保されること及び収容が必要かつ不可避な場合には収容の状況が国際基準に沿ったものとなることが目標とされている。

近時の仮放免の抑制的運用は、このような従来からの国際的な批判や国際的目標にも逆行するものであり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、我が国が国際的な注目を浴びる中、一刻も早く是正することが求められているといえる。

4 よって、当連合会は、法務省入国管理局及び大村入管所長に対し、仮放免等の収容代替措置を活用し、送還の予定されていない被収容者を速やかに解放するように強く求めるとともに、仮放免許可制度に関する現在の運用の早急な見直しを求めるものである。

2018年(平成30年)6月21日

九州弁護士会連合会
理事長 市 丸 信 敏