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九弁連とは?

3 その他の特別の取り組み
(1) あさかぜ基金の設立と弁護士法人あさかぜ基金法律事務所の開設

弁護士過疎の解消は,日弁連あげての取組みであり,そのためのプログラムには,「ひまわり基金法律事務所」,法テラスの4号事務所のほか,日弁連の「弁護士偏在解消のための経済的支援制度」による定着支援の制度などがあり,さまざまなプログラムが用意されています。そのプログラムに応えて弁護士過疎地における活動を志す弁護士を,地元九州の地で養成することも重要なことです。

そこで,九弁連では,2008年(平成20年),弁護士過疎地域への赴任を志す新人弁護士の弁護技術の研鑽と向上の支援を目的として「九弁連あさかぜ基金」を創設し,福岡県弁護士会と協力して新たな「都市型公設事務所」の設立を企画しました。その結果,日弁連の弁護士偏在解消のための経済的支援制度から支援を受け,九弁連の「あさかぜ基金」を利用し,福岡県弁護士会の強力な支援によって,2008年(平成20年)9月,「弁護士法人あさかぜ基金法律事務所」が設立されました。同事務所には,司法修習を終えた新人弁護士が初年度に4人入所し,現在も4名の弁護士が所属しています。原則として1年6か月の研修期間を経た上で,逐次,九州各地の弁護士過疎地に赴任していくことになります。

(2) 司法改革(被疑者国選弁護,裁判員裁判,法曹養成,弁護士偏在解消問題等)への取り組み

1990年(平成2年),大分と福岡で始まった「当番弁護士制度」は,「絶望的」と言われた日本の刑事司法に風穴をあけるものであり,燎原の火のように全国に広がって年々規模を拡大し,ついに2004年(平成16年)の刑事訴訟法改正によって「被疑者国選弁護制度」を実現させました。2009年(平成21年)5月,全国で約8万件にも及ぶ被疑者国選弁護人制度がスタートし,弁護士過疎地をはじめとして弁護士が新しい制度に対応できるかどうか心配されましたが,弁護士会の懸命の努力で対応可能となりました。九弁連では,なお残された諸問題の解決に努め,とくに「被疑者の取調べの全過程の可視化(録画)」を実現すべく努力します。

また,2009年(平成21年)から始まった裁判員裁判は,従来の刑事裁判を変革し,国民の司法参加を実現するためのものですから,九弁連としても,裁判員裁判が国民生活に根付いていくことを期待するとともに,単位会を中心として裁判員裁判の結果を検証し適切な提言を行っていきたいと思います。

さらに,各単位会では,弁護士自治権に基づき,各地における「地域司法計画」 を策定しています。福岡県弁護士会は「福岡地域司法計画(第2次案)」を策定し,「福岡地域司法計画推進室」を設置して,これを検証・推進する体制を確立しました。

なお,司法制度改革によって生じた諸問題(管内法科大学院の適正配置,法曹人 口,法曹養成,司法修習生の給費制維持等)への取り組みについては,本年度会務報告の「活動内容の総括」を是非併せてご参照ください。

(3) 支部交流会

2010年(平成22年)1月,九弁連で初めて支部交流会を開催しました。管内の地方裁判所支部・独立簡裁の地域から53名の会員が参加し,支部の抱える様々な悩み・問題点が明らかになりました。支部における人的物的設備充実や地域司法の充実を図るため,今後も継続的に開催する予定です(同年11月に第2回支部交流会を開催しました)。

4 むすび

九弁連は,今後とも,皆様のご意見をいただきながら,基本的人権の擁護と社会正義の実現,及び地域司法の充実のために,単位会並びに単位会に所属する会員とともに努力を重ねていきます。

以 上